ズミクロン50mm(1st,固定鏡胴前期)

• 専門店にて整備、調整済のレンズを使用しています。
• 掲載の操作方法はあくまで参考です。詳しい操作方法や注意点ついては、必ず購入した店に確認して下さい。

雑記

レンズ構成

　６群７枚の変形ガウスタイプと言われる対称形のレンズ構成です。１群目を敢えて貼りわせずに空気の層をつくった、所謂空気レンズを採用したことで有名です。

描写に関して

　エルマーよりも暗所が潰れることなく描写されるようになったと思います。また、解像力と諧調のバランスが絶妙です。
　固定前期のこのモデルは光の広がりが他のズミクロンより広く、また諧調も豊富なように感じます。沈胴から固定鏡胴になったことで、可能な限り光を通すようにしたらしく他のズミクロンにはない描写に繋がっています。ただし、調整に失敗すると豪快にフレアがでます。プロなら自分で何とかするでしょうと言わんばかりの設計は35mmf2の8枚玉に似ているように思います。

レンズに関して

　エルマーがバルナックライカを使用するならば持っておきたいレンズであるのと同様に、M型ライカを使用するならば持っておきたいのがズミクロンです。ズミクロンは年代等でいくつかの区分に分けられていますが、1stと言われている区分のズミクロンは沈胴、固定前期、固定後期、DR前期、DR後期の種類があります。
　沈胴ズミクロンは以降のズミクロンとレンズの玉の互換性はないようなので、1stの括りに入ってはいますが以降のレンズとは構成が同じだけで別のレンズといえるようです。
　購入した個体ですが、前玉レンズに枯れが見られます。他のズミクロンとレンズ玉に互換性があるので、綺麗なレンズと交換できるとのことでしたので一旦交換して貰いましたが、その状態で測定・撮影すると劣った結果になるとのことでしたので元の状態に戻してもらいました。
　交換したレンズと元々のレンズの組み合わせでそういう結果になるらしく、新品と違って綺麗なレンズが並んでいれば良好な結果が得られるというわけではないようです。あちらを立てればこちらが立たずで難しいですが、単純に見た目が良いレンズが写りもいいとは限らないのは、購入する方からすると見分けがつかないので困りますね。

前期、後期に関して

　ローレットが後期と異なりますが、前期の方が製作工程がより多く必要だったようで、後期では少なく済むように変更となったようです。
　前期と後期では随分写りが異なります。沈胴から前期固定に変更する際に、鏡胴が固定されて太くなったためもっと光を入れる設計に変更したらしく、撮影者次第では写りに幅がでる描写のようです。反面フレア等のコントロールが難しくなったので、フレアが出るのが嫌いな人は特にこの固定鏡胴前期モデルは買わない方がいいかと思います。固定鏡胴後期は、使い易い設計に変更となったようです。数は前期の方が少ないようです。

撮影に関して

　過去にアサヒカメラのニューフェイス診断室でレンズ解像度のレコードを出しており、当時の計測結果では、f4で解像力が最大となったようなので、撮影する際に念頭に入れておくと絞りを選択する基準の一つにはなるかと思います。
　また、上述のように光を取り込む仕様のため、フレアのコントロールのためにフードは必要だと思います。純正フードは35mmと共用のため、ケラレないぎりぎりの遮光というわけではないので、ギリギリの遮光を狙うなら別のフードを使うことを考えた方がいいかもしれません。

作例

参考

• 『世界のライカレンズ　ライカと世界のライカレンズ描写を徹底追及』,株式会社写真工業出版社,2000年11月,82~83ページ
• 『ライカレンズ完全ブック』株式会社グリーンアロー出版社.p40

参考価格

アクセサリー・消耗品等

フィルター

ねじ込み式のフィルターは純正のフードを取り付けようとすると干渉する場合があります。ユーエヌのフィルターは大丈夫でした。ただし、ねじ切りがないため今度はゴム製フードが使用できなくなるので注意が必要です。

フード

キャップ

ライカのデジタルカメラ

デジタルで使用するのならば、アポズミクロンとライカのセットはパソコンでの現像作業なしに撮ってそのままの状態でもプロが満足できるデータが得られると聞きます。素子やレンズ、カメラ本体やプリンターメーカーと調整して製作されているからだと聞いことがあります。（以前に聞いた話なのでM10もそうなのかは分かりませんが。）
　撮影で疲れた状態で、そこからさらに現像作業をしなくていいというのは、仕事として撮影しているのならとても楽になるなと思った覚えがあります（私は仕事ではないのであまり関係のないことですが）。
　デジタルカメラでの撮影が必要でライカの写りが必要は人は、値段は高いですが必要な投資を割り切って、過去のレンズを使用するのではなく、アポズミクロンとデジタルのライカを購入した方がいいかと思います。

その他