露光時間にかんして
時代によって、硬調が流行ったり、軟調が流行ったりしましたが、昔の印画紙は軟調に出ることが多かったため、硬調気味仕上げる人が多かったようです。私は諧調の出方を優先するので、軟調気味に仕上げることが多いのです。結局は好みの問題です。
私が作成する場合は次のように考えて作成しています。
- レンズの描写の作例を作成する場合は諧調を優先して軟調気味に焼きます。(ほとんどこれで焼いてしまいます。)
- 作品展などに提出する場合は多少硬調に焼くのが望ましいのですが、自分では上手くいかないので、作例を作った上で、目的を伝えてプロラボで焼いてもらいます。
これくらいの濃度で作成することが多いです。
焼きこんでみました。鳥のところだけ覆ってやればいいのかもしれません。
元々ネガフィルムは露出オーバーに対して余裕があると言われています。逆にポジフィルム(リバーサルフィルム)やデジタルカメラはアンダーに余裕があると言われます。
フィルムが全盛の時代ではフィルムに写ってさえいれば引き伸ばし段階で調整ができたので撮影段階で光量を調整するフィルターを掛けることはあまりしませんでした。ただし、リバーサルフィルムの場合は露出の許容範囲が狭いので、角形NDフィルターなどを使用して調整していた覚えがあります。フィルター類は、今のデジタルカメラでも使用していることが多いので、リバーサルフィルムと同様に露出オーバーに対応する必要があるためだと思われます。
焼きこむ時間で調整できるので、スーパーアンギュロンなど広角レンズで周辺減光する場合も周辺を焼きこんでやれば対対応することができます。
雑記
引延ばし機の露光時間は、多くの場合10秒程度の設定になっているのですが、個人的には露光の設定が強すぎる気がします。一般的には、高照度・短時間で露光すると硬調気味に仕上がります。初期のライカやツァイスを好んで使用する理由は諧調がいいことが理由の一つですが、この諧調を出来るだけ出すように焼こうとすると、低照度・長時間で焼く方が良い結果になることが多いです。ライカの引き伸ばし機のフォコマートでは、オスラム製の60wクラスの電球を取り付けて、30分以上かけてじっくり焼いた方がいい結果がでると言われていました。
例えば自分の使用している引き伸ばし機の中身なのですが、販売されていた当時に使用していた人たちがよくやっていたのは、光が入る所にトレーシングペーパーを挟んだり、ボックスの中を開けて、アルミホイールの光っていない面を表にして張り付けることで、光の強さを弱くしようとしたり、光の拡散を柔らかくしようとしたと聞いています。
それらに倣って、60wクラスの光源で、左のボックスに多少手を加えて引き伸ばしを行っています。
なお、メーカー推奨ではないので当然自己責任です。
スライダックなどを使用して調光する方法もありますが、白熱球は調光すると色温度が下がります。色温度の変化はフィルムと同様に印画紙の写りに影響が出るため、上記のような方法で調整していたようです。
スライダック(slidac)
単巻き変圧器の商品名。舞台照明などに使用。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例